和傘が作られるまでを解説!名産地や入手法も合わせて紹介します

和傘が何からできているかご存じでしょうか?また、作り方や名産地をご存じない方も多いと思います。そこでこの記事では、和傘の材料や作り方、名産地と入手方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

和傘の材料

和傘

和傘作りに必要な材料は主に下記のとおりです。

● 竹や木材
● 和紙
● のり
● 油

それぞれ具体的に解説します。

竹や木材

和傘の主な材料は竹です。竹はよくしなり耐久性に優れているので、風にも強い木材だからです。ただし、持ち手となる「柄」では、他の木材が使用される場合もあります。また、開閉部の重要なパーツである「ろくろ」はエゴノ木という強度と粘り強さを持つ木材が使用されます。

和紙

傘の表面を覆う材料です。和紙の種類に決まりはありませんが、「美濃和紙」という和紙が多く使用されています。また、染色された和紙を使用したり、筆などで模様が描かれた和紙を使用すれば、華やかでオシャレなデザインに仕上がるので人気です。和紙以外にも、舞台用の舞傘では絹が使用される場合もあります。

のり

のりは骨と和紙を接着させる際に使用されます。のりは天然素材の物が使用され、現在では、ミルクティーにも使用されて人気が出た、タピオカがのりの原料として利用されています。また、防虫効果や防腐効果がある渋柿をのりに混ぜる場合もあるようです。

油は和紙に塗って防水、撥水効果を持たせるために使用します。使われる油は基本的に植物油が使用され、具体的にはアマニ油やエノ油、アブラギリの種から採取したトウ油などを、季節や温度によって配合します。また、戦前は主にエゴマ油を使用していたそうですが、食用に多く使用され価格が高騰したため、徐々に使用されなくなっていきました。

和傘の作り方

和傘

和傘の作成工程は細かく分けると100工程にもなると言われています。和傘は一人の職人が一から全てを作るのではなく、それぞれ専門の職人がバケツリレーのように作るからです。そのため、特に重要なポイントを解説します。具体的には下記の工程です。

● ろくろ作り
● 骨を作る
● 骨とろくろを組み立てる
● 和紙を貼り付ける
● 油を塗る
● 仕上げ

それぞれ具体的に解説します。

ろくろ作り

ろくろとは、和傘の開閉をするために使用する駆動パーツを指します。ろくろは傘の頭部分と手元部分の2つがセットで初めて駆動するので、和傘を機能させるためのとても重要な部品です。

ろくろは、とても繊細な部品で作成に技術も必要です。しかし、ろくろ職人の高齢化と跡継ぎがいないのが原因で、ろくろ職人は岐阜県にたった1人まで減ってしまいました。しかし、現在ではクラウドファンディングによって後継者探しと後継者の研修費用が集められ、新たなるろくろ職人の育成が始まっています。

骨を作る

骨とは、和紙を貼る竹や、開いた際に支えとなる内側の竹を指します。竹を削って形作った物を、均等なサイズで何本も作る作業です。大きさや太さがまちまちだと傘を閉じた際に、バランスが悪くなり和紙が変な方向に折れたり破れたりする可能性があります。また、見た目も悪くなるので、骨を均等に作るのが重要です。

また、骨は削るだけでなく、染め上げる必要があります。染める理由は着色が目的ではなく、防虫、防腐効果のためです。また、染めた後に火であぶりながら余計な反りや癖を直していきます。

骨とろくろを組み立てる

骨とろくろを組み立てて傘の骨格を形成します。ろくろや骨は細く繊細な部品なので、繊細な技術が要求される作業です。その後、組み上げた骨がバラバラにならないように糸で組み上げて固定させます。

和紙を貼り付ける

組みあがった和傘の骨格に和紙を貼り付けていきます。和傘を折りたたんだ際に、和紙が内側に綺麗に降り曲がるように貼り付けていかなければなりません。また、骨の隙間は中心部にいくほど細く狭くなるので、繊細な技術が要求されます。もし、上手く和紙が貼れていないと、和紙が剥がれたり変なクセがついてしまい、最悪の場合は破れてしまうでしょう。

油を塗る

和紙に油を塗って耐水性を持たせ雨に塗れても大丈夫なようにします。ただし、日傘や舞傘など雨の日に利用を想定されていない和傘の場合は油は塗りません。油を塗る量が多すぎると傘が引っ付いて開かなくなったり、反対に油が少なすぎると十分な防水効果が得られないので雨漏りの原因になってしまいます。

また、油を塗って乾燥させた後に漆を塗ります。漆は和紙につかないように骨の上だけに塗る必要があるので、繊細な技術が要求されます。

仕上げ

最後に細部を仕上げたら和傘の完成です。具体的には、内側の支える骨に糸で装飾を施したり、頭紙やカッパと言われる先端部分のカバーを取り付けます。他にも持ち手の部分に藤を巻いて持ちやすくしたり、柄の先端に石突と呼ばれる地面と設置する部品を取り付けて和傘の完成です。

和傘の名産地

和傘

和傘の代表的な産地は岐阜県です。全国の和傘生産量の7割を占めています。理由は、前述した和傘の大切な部品である「ろくろ」を作る職人が岐阜県にたった1人しかいないからです。

しかし、和傘と聞いてイメージするのは京都や浅草などで、岐阜をイメージする方は多くないのではないでしょうか?なぜなら岐阜は生産量は日本一でも小売り販売店が少なく、直接買えるお店がなかったからです。

特に、和傘は一本一本手作りで複数の職人さんが時間をかけて作るので、大量生産ができません。そのため、京都や浅草など需要の高い地域に売ってしまうと、地元で売る数が限られてしまいます。

現在は、岐阜の町屋を和傘の伝統工芸の拠点となるように取り組みがおこなわれています。和傘を岐阜県で広める活動のためにクラウドファンディングで300万円を集め、街の修繕をおこない観光地として活性化させて和傘をPRしています。

和傘の入手法と価格

和傘

和傘の入手方法は下記のとおりです。

● 取り扱いのあるお店へ行く
● オンラインショップを利用する
● 専門店へ問い合わせる

取り扱いのある店に足を運ぶのが、手に取って見れて店員さんに扱い方を聞けるのでおすすめです。しかし、和傘を取り扱っているお店は少なく、一部の工芸品を扱う店がメインになり、稀に大型の商業デパートで取り扱っている可能性がある程度です。

そのため、オンラインショップか専門店へ問い合わせがメインの入手方法になるでしょう。ただし、大手通販サイトを利用する際は注意が必要です。大手通販サイトには一般的な和傘だけでなく、手作りキットやコスプレ用の質の低い商品が多く含まれているからです。

もし本格的な和傘が欲しいのであれば、専門店へ問い合わせるのが良いでしょう。専門店では、オンライン通販で販売している場合も多く確実に良い和傘が手に入ります。しかし、大手通販サイトより高額になる傾向があるので、注意してください。

和傘の平均価格は、5,000〜50,000円とピンキリです。また、番傘や蛇の目傘など種類によっても異なります。また、和傘風の洋傘やコスプレ用の実用性のない和傘の場合は5,000円以下でも入手可能です。

まとめ

和傘

この記事では、和傘について作り方や入手法について解説しました。

和傘の主な材料は下記のとおりです。

● 竹や木材
● 和紙
● のり
● 油

和傘の作り方は下記のとおりです。

● ろくろ作り
● 骨を作る
● 骨とろくろを組み立てる
● 和紙を貼り付ける
● 油を塗る
● 仕上げ

和傘の産地は岐阜県でおよそ7割の生産量があります。しかし、職人が減っていて販売店も少ないので、現在は和傘を守るための活動がおこなわれています。

和傘の入手方法は下記のとおりです。

● 取り扱いのあるお店へ行く ● オンラインショップを利用する
● 専門店へ問い合わせる

取扱店は少なくオンラインショップでは見た目だけの物が多く売られているので、専門店へ問い合わせるのが一番おすすめです。また、参考価格は5,000~50,000万円で、和傘の種類によって価格は異なります。